ケアハウス
森の猫

眠剤も飲まずに眠ったのに
長い長い 夢をみた・・・


相方は 退職金を元手に
車椅子を使う人たちのケアハウスを
自宅兼ねて建てることにした

定員は肢体障害者1級の息子も含め 
4名のみのちいさな ちいさな規模だ

なんとか 3名定員を満たして
ケアハウスは完成した

中には 遠く高速を飛ばして
来て下さる方もいて

月額もかなりなのに
皆 お金は持っていても
障害者の介護に悩んでいる
人たちだ

そこは お金にシビアな相方
肝心な所で 妥協を入れて
車椅子対応なのに
エレベーターを付けるはずが

なんとも急斜なスロープになっていた
電動車椅子なんぞ 行き違い
不可能!!

おまけに 建物の周りも
坂の修復がなっていない
車椅子を扱うには
けっして良い環境ではない

案の定
たった 3日で
利用者たちから
不服・苦情が出始めた

出資者からも
成功とはいえない状況に
降りるとの通達も来た

暗転

 僕が捨石になるんだ

息子は劣悪な状況に身体が
ついていけないのに
健気にも 愚痴一つ言わず

命の炎を消した

 やはり

あたしは
息子の車椅子を握り締め

葬儀の準備もしない
相方を恨めしく
睨んでいた

  なにを見ていたのだろう
  息子のこの24年・・・


自由詩 ケアハウス Copyright 森の猫 2010-08-14 02:31:16
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