サクランボの余韻
A道化




サクランボの余韻
朝はちぎって立ち上がっていった
急かされたガラスの小鉢は微かな花模様だけを残して
ごとん、
洗い桶の水の底へ消えた


いただきますもごちそうさまも
さよならも言ってもらえなかったから
夜になっても夏が終わっても花模様は終われずに
(ごとん、)(ごとん、)透明に透明に
水面の目をして何を待っているの



自由詩 サクランボの余韻 Copyright A道化 2010-08-13 06:02:23
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