自転車で
ふくだわらまんじゅうろう

自転車で
学校へ行く
いつもと違う道を
いつもと違う速度で
木漏れ日のなか
自転車で

ぼくは君を好きだったし
君もぼくを好きだった
だけど君は何も言わなかったし
ぼくも何も言わなかった

二人で眺めた
真夏の夜の
横浜の海の埠頭の先の
うねる海
銀色の
翻った大きな魚の腹
ぼくは怯えた
このままぼくらは
どんな奈落へと落ちてゆくのだろうか

自転車で
学校へ行く
いつもと同じ道を
いつもと同じ速度で
灰色の夏
遠い記憶




自由詩 自転車で Copyright ふくだわらまんじゅうろう 2010-08-09 22:47:28
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