doogks and maadly
竜門勇気


ハーブを植えてる家の前を歩く
さみしい気分はそのままだった
風邪をひいてる子供が走る
さみしい気分は溢れていった
長いこと眼鏡をかけていて
いつからこんなに目が悪くなったんだって
ある日突然思って
悔しくって 外したって
何かがむき出しみたいで怖くって
でも見えなくって やっぱりさみしくって
気がつくとベッドの上
夢だったって気づくまで泣いてるだけ

人間らしく考えよう
人間らしくよ
あんたは人間らしいよ
すごく人間臭くて
人間そのもので
おかしくなりそうだ

カーブで曲がれないでいる
風邪をこじらせた年寄りが死ぬ
増えてく悲しみでレンズは濁っていく
さみしい気分はこのままで
きままに爪を研いでいる
すれ違う人と友達になる空想をする
僕にどんな嘘をつくんだろう
僕をどう傷つけるんだろう
首を締めずにはいられないよ
でも死なないんだ 嘘の友達だから
嘘の生き物だから 僕の嘘だから
僕の中身は嘘ばっかりだから
首はちぎれて僕は泣いてる
まだ首は笑ってるまた僕は泣いている
気がつくと道端に座り込んでた
ざらざらして苦しい
僕の友達を知りませんか?
僕の友達はいませんか?
僕は叫んでる 崩れ落ちていく絶望に身を任せていく
首たちは困った顔もせずに歩いていく
僕は砂粒だらけのアスファルトの上で泥になる
すれ違う友達の出来損ないは
泥を避けて歩いていく

あんたたちは人間らしいよ
人として 人らしく生きているよ
だから大丈夫
泥は避けていいんだ
クソならよけてきゃいいんだ
間違ってるやつはよってたかって殺しちまえばいい
人間らしくありたいよ
あんたらみたいに

目眩と混沌の中で立ち上がる
混沌の方がよく出来ていて
振り回される眼球が捉えてる視界を
黒い粒が這っていた
いつまで立ち上がり続けなきゃなんないんだ
いつまでって
そんなこといっても
めんどくさくっても
頑張らなきゃな
くじけるな 諦めるな
そうしてボロボロになった心を
ひきずって
いくらも歩かずに倒れこむ
今度は砂の味に血のにおいと黄色くて
酸っぱいにおいが混じって
惨めで ちっぽけで きえて無くなりそうだ
新しい 感情が 枯れて
がらんどうの筒の中を覗き込むようだ
さっきまでこらえきれなかった怒りが
憂鬱が 全てのくすぶる激情の燃えかすが
不意に赤く輝いて
消えた

人間らしく
人間らしくありてえよ
人間らしく楽にいきてえよ
人らしくあんたららしく
俺らしくなんて不便なだけじゃねえか
あんたらはほんと人間らしいよ
人間らしくて
人間臭くて
全てに優しくて
目をつぶったままで耳を閉ざしたままで
誰にでも優しい
優しくて
俺にとってひどく悲しかったことを
辛かったことを
分かりきった過ちを
笑顔で責めたて続ける


自由詩 doogks and maadly Copyright 竜門勇気 2010-08-09 13:48:54
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