綺麗なものに憧れて
麻生ゆり

それは水晶の月が照らす場所

星が流れる一瞬の間にだけ現れる

清らかな幻想の大地

そこにいるのはサファイヤの瞳に白銀の髪の麗しき姫

「さあ、旅人よ、この聖水をお飲みなさい」

と銀の器を渡してくれる優しき人

汚れなく透明な心ひとつ持って

正しき旅人はみなこの楽園を目指す

ここは何者も侵すことのできない美しいところ

空には翼びとたちが

オアシスには鱗びとたちが

慈愛に満ちた歓喜の歌を奏でている


「ダケド…ドウシテ私ハ行ケナイノ?」

「夢が見えないあなたには、この愛ある場所を教えられないの」

遥かなるところで

銀髪の姫がそう囁いた


自由詩 綺麗なものに憧れて Copyright 麻生ゆり 2010-07-28 15:31:09
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