懺悔
くろきた

このこ、うちのペットのみっちゃんです。
ミシシッピアカミミガメのオスで、10歳。たぶん。

みっちゃんはとても可愛いのです。
毎朝エサをねだって、私の後を水槽の中でうろちょろとついて来ます。
あんまりに可愛いから、私はエサをたくさんあげます。
ドライフードを、山盛り。


ある日、動物園に行きました。
池にはみっちゃんと同じくらいの大きさのカメがいます。
可愛いな、と見ているとおかしい事に気がつきました。

みんな甲羅がぺちゃんこなのです。
そう、みっちゃんはメタボだったのです。
私が、その可愛さあまりドライフードを毎朝山盛りあげていたせいで。
お母さんは悲鳴を上げました。
よくアニメのヒロインが上げているような。

私は酷く叱られました。
そしてこれからは”エサは毎朝10粒に、ブロッコリーの芯”と定められ、
みっちゃんのダイエットが始まりました。

毎朝ドライフードを10粒、決められただけあげます。
与えられたエサをちらりとみて、
それだけ?とみっちゃんは私をじっとみつめます。
私は心苦しくなりながら、これでどうだ、とブロッコリーの芯を上げました。
みっちゃんは一口かじってそっぽを向いてしまいました。

これではかわいそうだよ。
私はお母さんに訴えました。
するとお母さんは、ぴしゃりと言いました。
みっちゃんのためを思うなら言う通りにしなさい。

誰かのためを思うって、辛いことだ。
私はしみじみ思いました。
だって、自分の欲望を満たせないんだもん。
でもこのままだったら、私ろくな親にならんぞ。
次はきっと子供をメタボにしてしまう。

しばらく色々考えた後、私はみっちゃんに謝りました。
メタボにしてごめんなさい。


これは私の懺悔です。





自由詩 懺悔 Copyright くろきた 2010-07-26 20:10:25
notebook Home 戻る