腕の中の君
朧月
僕は君がすきだと思う
その細い指で君が
未来みたいなグレープの
ジュースを淹れている
夜のさらりとした空気が
僕らの間に横たわって
少しかしげた君の首を
そっとこちらへむける
なんとなく悲しいと君が言い
言葉が終わらないうちにふさぐ
だれにも連れ去られたくないんだ
君は僕のもの
決まってる道なんて知りたくない
キメゴトもわからなくていいんだ
君の体温だけが僕の
胸を伝ってくればいいんだ
君はもうなにも言わなくなる
僕の手の平の中の
全ての線を読み解こうと
するように じっとただ見つめた