瞬き
薬堂氷太

灰色の道を 千切れた
白い線が 刹那に通り過ぎ

目で追っては 疲れた瞼を
こすりもせずに 遥か地上の
景色を見下げる

椅子に座った身体は
いよいよ速度を 上げていき
目まぐるしく流れる 景色は 瞬きするのも
惜しいほどに

大好きな曲が 知らない人が築き上げた景色に
躊躇なく溶け込んでいくようで

誰もかれもが 寝ている 狭い箱で

僕も 眠りに就こうと思っても

景色がそれを許してくれない

帰り道の話し


自由詩 瞬き Copyright 薬堂氷太 2010-07-21 14:04:15
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