共存
瑠王

領域を徐々に侵してゆく不均一な煙のような
その渇きは


意識の最も深い階層に砂の粒はあふれ
ああかつてのそこはなんであったか
今を放浪する怪物の名は私の三分の一足らず
どうして気づいてしまったのか
ただちに放たれた虎の名は私の三分の一足らず
怪物を追うために放たれた三分の一の響き

それを上から眺める空の瞳
その名はまた私の三分の一足らず
ぽろぽろと流した涙で徐々に密林は生まれ
やがて構築する三分の一の慈しみ
怪物よ、影に還れ
虎よ、喰い殺してはいけない
均衡を保ち共存しろ
この意識さえ数え切れない階層のひとつに過ぎない
新しい名前など決して生まれてはこない
均衡を保ち共存しろ、世界は変わらない
自らの名のもとに各々の役割を全うして
地獄でも楽園でもない均衡を

誰かの名を声にしそうになっても
各々の役割を忘れるな
何億分の一の鳥
何億分の一の風
全て自らの名のもとに
共存するひびきかたち



自由詩 共存 Copyright 瑠王 2010-07-14 17:10:36
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