よくある話
ドクター・キリコ

ドーナツのような未確認飛行物体が、今日、午後六時過ぎに、町内の公園に落下したらしい
野次馬の歓声やら、救急車のサイレンやら、その他諸々の騒音が、家の窓をたたく


母さんが、ちょっと外まで見てくると、サンダル履きで出て行った
僕は、ポテチを頬張り、尻を掻いて、マンガのページをめくる


突如、とある村に現れたUFOから降りてきた宇宙人に、村人全員が抹消されるというよくあるSFだ


ぴぴぴぴぴ、と軽快な電子音が、公園の方角から聞こえた
同時に、窓ガラスがビリビリと震え、ぱん、と割れた
見ると、神々しい光の柱が、空まで届いている


僕は、そろそろ、なんとなく、ヤバイ気がしていた
裸足のまま、玄関を飛び出すと、交番に向かって、いちもくさんに走り出した





自由詩 よくある話 Copyright ドクター・キリコ 2010-07-11 08:30:10
notebook Home 戻る