飛んでいく家の話
瑠王

外は今日も騒がしい
豊かな自然
沢山の人間と沢山の生き物
私は今日も窓からその変容を眺めている
それはもう毎日のように

この窓辺から遠くへ臨むことだってある
窓越しに映画を見に行ったり
家ごと音楽の真ん中へ出向いたりもする
親しい友人の家の横へ飛んでいって
そんな時には窓を開けて挨拶をする
せせらぎが必要な時には
川沿いに何か月も居座ったりもする
窓辺に椅子を持ってきて
一日中そこで本を読む
とっておきのラムを少しだけ味あう

気づいたら知らない場所だったこともある
そんな時はカーテンを閉めて
少しだけ寝たふりをする
すると誰かが戸を叩いて
過ぎ去ったことを伝えに来る
それは時々、手紙だったりもする

私は今日も窓からその変容を眺めている
家の中は昔から変わらない
ただ窓辺に飾られる花を除いては

新しい花を必要とする時にだけ
私は戸をあけて自分の手で摘みにいく

外は今日も騒がしい
豊かな自然
沢山の人間と沢山の生き物
それはもう毎日のように


自由詩 飛んでいく家の話 Copyright 瑠王 2010-07-08 14:37:45
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