聖き穢れ(きよき けがれ)
K.

穢れのなかにあるものが
聖くみえるのはなぜだろう

汚物や体液にまみれた女がいる

彼女の聖さはなんだろう

瞳は真っ直ぐに前を見据え
口を凜と切り結んでいるのか

瞳は虚ろに辺りを彷徨い
半開きの唇を向けているのか

彼女は何者をも拒まない

それは意志か無気力か
それは希望か絶望か

ただひとついえることは

何者をも拒まぬその聖さゆえに
穢れた己は傍に居られぬのだ

見つめてしまうことはあっても
触れることはできない

通り過ぎることはできても
留まることはできない

古来、神の宮とされた女たち

恐れ敬い愛することはできても
共に生きることはできない

何者をも拒まぬその聖さゆえ
穢れた己は共に生きられない

聖くなくてもいい
穢れていてもいい

己だけを見つめて欲しいのだ
誰でも良いでは困るのだ

女よ、お前の聖さに己は耐えられぬのだ


自由詩 聖き穢れ(きよき けがれ) Copyright K. 2010-07-07 20:14:25
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