深層恋愛
アクアステル

まだ五時だというのに
外は月夜の海中のようなブルー
静かに蒼い
電信柱のからす
低く垂れた満月を見て
何を考えるのだろう
わたしは窓のそばの椅子に座り
膝の上に読みかけの本を置いて
眠り続けているようだ・・・・・

・・・・・白い道は八方に伸び
     瞳の奥に突き刺さる
     軽い眩暈を感じながら
     刺さった道を見つめている
    (この道はどこまで続くのだろう
     赤い楽園までだろうか)

外はすっかり深海世界
知らないよい香りが漂い
月はどこに消えてしまった
電信柱で鳴くからす
空に向かって叫んでいる
遠くの丘の上では
白い犬が道に迷って困っている・・・・・

・・・・・もうずいぶん歩いた
     楽園まではもうすぐだろう
    (満月がぎらぎらしている)
     突然道は消えて
     光の輪となって上昇する
     つかもうとするが
     光は無数の粒子となって
     わたしはどこまでも落ちていく
               落ちていく
                落ちていく・・・・・            

鏡の中に月とからすがいる
月とからすは一つになろうとする
鏡の中の複合体が膨らみ破裂すると
透明の液体が溢れ
すべてを流し去る



遠くの丘の上ではやはり白い犬が
道に迷って困っている


自由詩 深層恋愛 Copyright アクアステル 2004-10-12 20:38:43
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