べとべとの海
はるな
空にあいた無数の穴をながめていると
はちの巣をかむった少年がやってきて
このせかいの嘘を教えてくれる
わたしは鏡のまえに立ち
うつったものを分割する
ハチ ハチ ニ 4 ? 六 キュウ
べとべとになった根元を
海が 洗い流してゆく
分割されて穴だらけになった世界で
いったい何が大事だというのだろう
ながめているわたしに少年が教える
死をかむったはちの巣がやってくる
根元にべとべとの海が寝返りをうつ
40 五十 六じゅう三
無数の穴になったわたしをながめて
いると海がやってきてべとべとの少
年を大事に分割しはじめる。はちの
巣にうつった鏡が寝返りして死がつ
いにせかいの嘘を洗い流してゆく。