雨の季 Ⅱ
木立 悟
なぜ目覚めたのか
ずっと考えていた
ふたつの色の
雨のはじまりだった
ふいに起こる物音が
ふいの朝を説いていた
音の主をたしかめる前に
それらは高く飛び去っていた
悲しみの舞のようだった
ゆっくりと触れるようだった
小さく 小さく
水紋は泣いていた
葉が雨の真似をしていた
たくさんの手が道を打っていた
連れていかれる雲の音が
朝の隙間に響いていた
すべてが水のなかのように
すべてが光って揺れていた
舞と水紋の間には
昇りつづける羽があった
たくさんの空の
たくさんの刃が
水たまりの上をすぎていった
すれちがうまますぎていった
光 火 音 水
銀と灰に降りそそぎ
波の時間を描きつづけていた
羽の時間を描きつづけていた