雨の季 Ⅱ
木立 悟



なぜ目覚めたのか
ずっと考えていた
ふたつの色の
雨のはじまりだった



ふいに起こる物音が
ふいの朝を説いていた
音の主をたしかめる前に
それらは高く飛び去っていた



悲しみの舞のようだった
ゆっくりと触れるようだった
小さく 小さく
水紋は泣いていた



葉が雨の真似をしていた
たくさんの手が道を打っていた
連れていかれる雲の音が
朝の隙間に響いていた



すべてが水のなかのように
すべてが光って揺れていた
舞と水紋の間には
昇りつづける羽があった



たくさんの空の
たくさんの刃が
水たまりの上をすぎていった
すれちがうまますぎていった



光 火 音 水
銀と灰に降りそそぎ
波の時間を描きつづけていた
羽の時間を描きつづけていた








自由詩 雨の季 Ⅱ Copyright 木立 悟 2004-10-12 16:51:49
notebook Home 戻る