朝の重量
N.K.

夜が明けきらぬうちに
息で曇ったメガネを通して
見える街灯の明かりは 屈折して
一つ一つが
完全な円形の虹のようだ。

こんな時 寝床では まだ
おそらく 多くの人がもぐったまま
それぞれが丸くなったまま
だれもどこにも 繋がることはしない
虹も 円環のまま
それ自体のみで 満ち足りている  

夜の明かりは 朝の青さに気付いたら 
徐々にその領土を引き渡す

夜の固い表面が少しずつ剥がされていく

藍色から徐々に蒼白色へ 
アスファルトの
ビルの
世界の
質量が
夜の縮こまった顔の下から 姿を出す

街全体が蒼い重量となる

蒼い引力が 一気に辺りを圧倒する時
それを身体全体で受け止める時
その時だけだ
新しく私は この街に生きている。


自由詩 朝の重量 Copyright N.K. 2010-07-02 21:59:35
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