無回転姑
AB(なかほど)



蝉時雨
もうすぐ初盆です
と言った義母の心が
くみとれなかった

その気持ちが解らないまま
私の口からも
同じ言葉が出てる
蝉時雨

記憶をたどろうとすると
嫁は不思議そうな顔をしながらも
笑顔の孫を寄せてくる

そういえばずっと前にも
こんな顔した誰かが笑っていた

灯篭の光と影のほうが
ゆらゆらと記憶のまわりで
やさしくまわっていて
私はずっとここで



即興ゴルコンダより


自由詩 無回転姑 Copyright AB(なかほど) 2010-06-28 09:17:18
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