ラブ アンド ピース
くなきみ

彼女はきれいなシールをたくさん持っていた
そのシールを貼れば
どんなに汚いところもきれいに見えるようになった
彼女は通る道通る道にシールをどんどん貼っていった
それまで汚かった道も
彼女が通った後はとてもきれいな道に見えるようになった
シールを貼るだけで
そんなにきれいに見えるようになるなんて
ちょっと胡散臭い感じがしたけれど
実際シールがべたべた貼り付けられた場所を見ると
きれいに見えてしまうから
彼女のシールを貼り付けている行為を
ただじっと見ているしかなかった
彼女は僕を見つけると
ずんずんと近づいてきて
僕の体中にそのシールを貼り付けてきた
彼女は僕も汚いものに見えたのだろう
シールで体が隠れるほど貼られて
動けなくなった僕は
ようやくきれいになったみたいだ
彼女は他の場所に行ってしまった


自由詩 ラブ アンド ピース Copyright くなきみ 2010-06-26 08:41:40
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