辺と際(めぐり)
木立 悟







ささやきが文字の痛みを取り去ると言葉は胸に目に突き刺さる


燃やしてもいいかおまえに尋ねてもおまえは黙る布の目をして





欠けながらまぶたに沈む光より到けられる風過ぎ去りし風


道が道くぐりし光あおぐとき朝のむらさき手のひらに降る





食べかけと呑みかけがまた窓になる夜の外は夜夜の外は夜


緑呑み底の緑をさらに呑み左腕だけが脈打つ夕べ





やわらかな銀の光のかたまりに指を触れ跡が消えゆくを見る


脚になる前の足たち運びゆく町になれない街の貝殻




























短歌 辺と際(めぐり) Copyright 木立 悟 2010-06-21 03:34:06
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