火葬
こしごえ

お空を 雲が流れてゆく
わたくしは
けむりのとったんにとどまる
丸い果実にもやされた
乳房の曲線を
つめたく伝う

円柱の墓標は長く
石のままなのね
黒光りのかたさに 無表情の
まなざしの映る
こちら

手をかざし
目をほそめる
くちびるがうすくもらす
めまい
宙へ零れる
とったん、とったん。
お空を

めくり上がり灰と化す時
二度とは帰らないの
鉄の
扉のむこうへ
あいさつをしてから

煙突をたどりひとすじ
高く
雨となる日は
それはそれは
しずかに
降ろう
反射を

のみこむ
いちぶになる
ずっしり

つらぬかれる


自由詩 火葬 Copyright こしごえ 2010-06-15 15:32:31
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