二十億光年の孤独を笑う
しゅう

満ちたり欠けたりする月のように
人と人の間に打ち寄せるさざ波
指と指をからませ確かめる温度に
永遠という名の嘘が漂う

舟に揺られ夜の海で星を眺めながら
それぞれの孤独が空の上で出会う
灯台の光さえも届かない世界で
二十億光年の孤独を想う

生きることの意味が必須科目な時代に
死んだように寡黙に日々をやり過ごす
まるで割れる波のような命だけれども
そこに咲いた泡の花を君は見ただろうか

満ち足りた満月と枯れ落ちる新月
今日と明日の間で身を寄せるだけでは
伝えきれることのない悲しみの温度に
永遠は涙をこぼすだろうか

舟に揺られ夜の海で星を眺めながら
降り注ぐ孤独を飲み干している
二十億光年の先にいる君に
おれは何を返すことができるだろうか

未完成な感情
振り上げる拳
振り下ろす歴史の線を引くペンに
星よりも時間よりも重い意思を乗せる

閉じた雲を両手でこじ開けて叫ぶ
不確かな足下が崩れ落ちるほどに
荒れる波にさらわれる存在の光よ
祈りよ、命を貫いて走れ
稲妻は無限に人を撃つだろうが
網膜は未来にプリズムを伝える
手をつなぐものの無い孤独の闇の中で
目をつむれば確かに温度を感じる

砕け散った永遠が空を飾る夜に
渡り鳥が海を越えてやがて帰るように
二十億光年の先にいる君よ
おれの投げた光と
君の投げた光の
すれ違う孤独の笑い声を聞けよ


自由詩 二十億光年の孤独を笑う Copyright しゅう 2010-06-13 00:01:35
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