御酒
黒い翼

復活の皇子の醸した生成物を
五臓六腑に染み渡らせよう
このまろやかでフルーティな
まさに平和の皇子の性格
…ていうか風格 に心酔わそう

かの日
首里は焦土と化した
ひとりの女とともに
その黒麹菌は絶えた
殺されて

こんな戦争ひとつ止められなかったんかい
こんなイシカワガエルのちびに
つま先を突かれる
じゃぁ こんな戦争ひとつどうにかできる
そんな種類のホモサピになっていいんかい
そんな種類のってどんな種類かって
経済活動を行っている立派な社会人ってやつさ
てめーは何も痛くも痒くもないところで
こんな戦争ひとつ分の儲けのために
アドレナリンとドーパミン分泌させて
世の中動かしているのさ
大小ピンキリの経済団体だかで
改憲改憲って吠え立てる
世の中動かされた側だって
誰もが今日の糧と寝床のために
結局は戦争の奴隷
空気読んじゃぁ
反戦なんて変わった奴だとか嗤う
空気読んじゃぁ
いくらでも軍国の母ってやつになる

こんなイシカワガエルのちびに蹴られる
ホモサピ出現以降ろくなことないぜ
俺たちが滅ぼされる前に
自業自得で滅びてくれ

平和の皇子は
あの日と同じように
緑の風の中舞いながら駆け抜ける
俺たち絶えてなんかいなかったぜ
ホモサピが拾えなかっただけさ
俺たちいつだってこの星にいたぜ


自由詩 御酒 Copyright 黒い翼 2010-06-12 11:02:55
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