salco

娘の男運はもしかして
女遊びの因果ではないのかと
たまに思ったりもしたものだ
若い頃は勢いに任せて馬鹿な真似もした
何故、あいつがメガネに適わぬ男ばかり
それも救い難く安い奴ばかりに行くのか
確かに気立てのいい娘というのは
ひねた小賢しい女と違って馬鹿も見る
人間って奴は、甘い顔には凭れることしか考えない

しかしあいつのそれは
何不自由なく育てられた境遇を
押し付け、拘束と捉える
無意識的な反抗心のゆえではなかったのか
とも、不幸な目に遭うだけの娘を見ていて思う
だけど親の裡にある明確な将来像は温順な人生
幸福に輝く我が子という祈念に尽きるのだよ
ましてその娘を知りもしない巷間の連中に
まるで笑い者のように喧伝されるのは忍び難い

それをだね、
ひたすら胸にしまっているのだ
お前にも、
何か困った事があったらすぐ言いなさい
いつでも帰って来なさいとは言えずに
大人なんだから好きにするがいいさ
誰が心配なんかするもんかね、なんて
強がってだね、
屈託なく談笑するその顔に
翳の兆しがありはしないかと横目で窺っている
ママにはせめて打ち明けて欲しいと思うがね

パパには不満なんかないさ
生まれる前からお前は俺のたった一つの宝物で
今でもそれは変わらない
こうしてパパが今日も見知らぬ街で働くのは
何も下らぬ野心や錆ついた矜持の為ではないのだよ

(以下はsalcoプロフィールの画像を参照下さい)


自由詩Copyright salco 2010-06-12 02:26:06
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