痛みの歴史
桐谷隼斗

湖に溺れている豚
必死な形相
肺にあふれる涙
私は歩けないから祈った
永遠に沈黙が続くなら
壁に骨をぶつけ
音楽を差し上げます

青空を
深々と突き刺すスズメバチの群れ
赤く腫れた皮膜
言葉でいっぱいの耳たぶ
飛行船に乗って
汚れた言葉をばらまいて行きたい

街の匂いを嗅ぎながら
ゆっくりつぶやいた
「私の居場所はどこですか」
左腕に刻まれた歴史

すべてを物語る

今日も 燃えていく
はかなく 散っていく
少女の季節
黒い蜜が樹皮を伝う
丘の上に集まる人々
この人たちもまた
裏切りの物語の執筆者であり
読者なのだろう

みんなが忘れても
私は忘れないよ






自由詩 痛みの歴史 Copyright 桐谷隼斗 2010-06-08 21:17:35
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