「愚痴をこぼす」
ベンジャミン

皮肉なものですね

愚痴をこぼしたくなるとき
その愚痴を聞いてくれ人は
愚痴なんか聞かせたくない人だったりする

遠まわしな言葉が
あなたの
うんうんという相槌とともに
だんだんと本音になって
そのうち
こぼすつもりもなかった
涙までこぼれちゃうから

やっぱり
申し訳なく思ったりするんです

ある意味
正直なことですから
良くも悪くもないのかもしれない
けれど
あなたに向かって流れ落ちる
その言葉たちを
どうにか止めようとこらえれば
余計にこぼれる涙が止まりませんから
だから
「ごめんなさい」
じゃなくて
「ありがとう」

今日も
そんな愚痴をこぼしながら
そのこぼれた言葉のぶんだけ
あなたの優しさに触れたぶんだけ
ふっと軽くなる気持ちとは反対に
何かが満たされてゆく気がするのは

きっと
気のせいじゃない


自由詩 「愚痴をこぼす」 Copyright ベンジャミン 2010-06-07 23:34:49
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