詩について語る
非在の虹

詩について語り合おう
             鶏の首を絞めてから
            鍋にたっぷりの水をわかし
           たきぎの準備をしてから
          風呂を炊こう
         家を建ててから
        墓穴を掘ろう
なにもかも順序どおり
         親もやっと墓穴に入った
 兄妹たち 穴をのぞいていたら 
 けつを蹴りあげる
 恋人
  どの恋人も
 やっぱりきれいだ  ほのかに線香のにおい
さて 
 詩について 
 語りだす
  連続する性の
向こうがわから来る者にもてなしの支度をする
連続する性の向こうがわから来る者は
連続する生の向こうがわから来る者のあとから
あとから あとから あとから  ぞろぞろ ぞろぞろ ぞろぞろ
ぞろぞろ ぞろぞろ ぞろぞろ  あとから あとから あとから
        形をすこしずつ変えながら
    ぶつぶつ言う声が
    聞こえる
詩ついて語っているのだ
             明け方 
        人々は見るだろう 
    糸のように細い下弦の月を
その下で 
    酒宴をひらく 胸をひらく 
     足をひらく 開かざるところを
 はなばなしくひらく
さかずきが飛びかい じょじょに視界は拡がる 

   有情の声 そのかそけき声のあとに
      はげしい嘔吐のけはい
ひとりひとりの吐瀉物が足もとにあふれ
あふれかえった吐瀉物は墓穴に流れ込む
とうとうと流れ込んだそのあとは
                コソとの音もしない


自由詩 詩について語る Copyright 非在の虹 2010-06-04 21:51:41
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