カスピ海ヨーグルト
クローバー

カスピ海にも ヨーグルトにも 興味がないから
もっと ほかのことを語ろう

テレビショッピングの人魚

深夜 まばたきが追いつかなくなった深海魚
青白い光に照らされ 沈んでいた

カクテルグラスにヨーグルトが揺れていた
小さなミントの葉が添えられていた

健康のために
なんて まるで人間みたいな事を言う
こんな不健康な時間帯に
テレビ画面越しに出会った囚人
もっと 違った未来を話し合えたはずだった
口から言葉とは別に 泡をぽかりぽかりと浮かべていた
その中を聴きたかったのに
彼女は 今なら 送料込みで とカタカナで歌った
そんなことは必要ではなかった

魚は3個100円のヨーグルトを
冷蔵庫から取り出してスプーンですくって食べた
そして眠った。


自由詩 カスピ海ヨーグルト Copyright クローバー 2010-05-31 22:04:49
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