全手動一行物語(71〜80)
クローバー

71
秒針が刻み続けてきた、時間の千切りは山のように盛られ、おかわり自由。

72
少年が教科書の偉人の顔に落書きをしていると、気づけば少年の顔にも髭が生えてきた。

73
ある科学者は永遠の命を求め、彼の周りの時間を停止させる装置を完成させ始動させたとたんに、地球に置いて行かれてしまった。

74
彼女がマーガリンを食パンにのばすと、すっと雲が広がった。

75
負けず嫌いの彼は、ルールブック製作会社に怒鳴り込んだ。

76
彼は3人の男に囲まれ、椅子に座らされた10分後、お礼を言って部屋から出た。

77
彼女が親指で器用に演奏する楽器には20個ほどキーがついているのだが、3種類の音しか出なかった。

78
ドッペルゲンガー、病気で寝ているはずの彼女が、親友と腕を組んで歩いている。

79
目の見えない彼にも、もちろん、みにくい部分がある。

80
目を覚ます夢を見続けて、未だ起きることのできない彼女にとって朝は、思い出。


自由詩 全手動一行物語(71〜80) Copyright クローバー 2010-05-26 22:07:06
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