失墜
蒲生万寿

カゴの中の鳥が

可哀想だとは限らない

そこで満足するものも居るのだから

そこから見える空がどこまでも続く

そんな事実を知らずとも

力いっぱい羽ばたき飛ばずとも

その場所が全てだと思えるならば

案外楽しく過ごせるだろう

空に向かい囀(さえず)れども

最早届かない

それでもいいと思える日常に

その羽はもう必要ないだろう


自由詩 失墜 Copyright 蒲生万寿 2010-05-20 20:28:24
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