空色めくり
クローバー

二機は、一晩中逃げ回っていた
飛行機は、蜘蛛の巣に引っかかっていた
「プレーンモビルって言うんだよ」
「ふーん」
夜、僕らの残骸が、露に濡れて光を放った
蜘蛛、手をつないだ僕と君
バランスをとって緩やかに旋回した
蜘蛛は糸で優しく包み込んだ
大切にするものほど
外からは見えなくなってしまうのだろう
堅く包まれた二機が、安全を確認した
平行して飛んでゆくと速度が消えた
光輝く親指が、空をめくった
真横から夜が明け始めた。


自由詩 空色めくり Copyright クローバー 2010-05-14 20:11:29
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