星夜
さき


街を貫く
高層ビルに
まだ間に合うかな
私は橋をかけて走っていく
今夜



綺麗な星がきらきら光っているよ
空にも大地にも


私が今
確かにここにいることを
知ってほしい
という
祈りも
ささやか過ぎて
誰にも届かないけど
複雑に絡まった
配線の先で
キラキラ瞬いている


ため息の数だけ
不幸になるんだとしたら
この世はもう
とっくに終わってるんだと思う
そうじゃないから走るんだ
ため息は浄化だよ
捨てられた重い空気をかきわけて
きゅっと
スニーカーの紐を
結びなおす
身一つだと
この世界は
実はとても
とても
自由なんだ


ケーブルを
ひっこ抜いたら
元の世界に帰れるかもね
でも
そんなのもう
出来っこないから
走って行くんだ
あの
高層ビルから見る
世界が
この世のすべてなのか
どうかって




とてもワクワクしてる
今夜
世界は
星だらけ









自由詩 星夜 Copyright さき 2010-05-09 20:17:41
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