風船2  ーポンプからー
……とある蛙

君は風船だ
空高く昇って行くのだ
目一杯膨らんで昇って行くのだ
しかし、
パチンと割れたらもうおしまい
だが
君は空の高さを思うのだ
内なる圧力を思うのだ。

僕はポンプだ
君を目一杯膨らますのだ
それが僕の役割だ
君がどこへ行こうと勝手だが
君は空の高さを思うのだ
内なる圧力を思うのだ。


君はふわふわと
ふわふわと
目一杯膨らんだ自分の体を
旋回させながら
空へ向かって昇って行く
ふわふわとゆらゆらと
ふわふわとゆらゆらと

君はそのとき眦(まなじり)を決して
キッと目を見開いて
目を見開いたまま浮かんでいるのだが
頬っぺたまで膨らんでいるので
僕は思わず笑ってしまう。

君の決意は堅いのだが
ふわふわと中空に浮かんだまま
のろのろとしか昇って行けない
鳥の嘴(くちばし)にでも触れ
パチンとわれたらもうおしまい。

ちょっと息を抜いて降りてこ〜い
また膨らまして上げるから

それからまた
昇って行けばよい
そしてまた
君は空の高さを思うのだ
内なる圧力を思うのだ。


僕はいつもいつも君を見ているよ
僕はいつまでも君のポンプだから。

※「風船」を改題改訂


自由詩 風船2  ーポンプからー Copyright ……とある蛙 2010-05-09 13:04:42縦
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