熱帯夜とワームホール
ゼロスケ

塞ぎの虫が騒ぐ
中空さらに燃える皮膚
林檎のアップリケにより
枯草ズボンは繋がっていた
くちびるを切ったわけは
大きい風と擦れたから

ハローに粘糸下がり
七夕の短冊が揺れている
仏舎利はライン工が造る
エナメル質の茎は電柱
右往左往する蟻たちに
バールのようなもの振りかぶって

チェレンコフ放射し舗道
ほじくり返しても構わない
噛み犬は口角泡を吹き、散らばるカップスター
破壊されたの車止めだけ?
洗いたての開襟シャツ
くちびると目尻を拭う

ヤツデの下を裏返し
吸気に滴を垂れていた
おとなりは父なし子
落ちてきた蝶々に喜ぶ
玩具屋は戻らなかった
皆は黙っていた

火に昇る翅めがけて
流れた影は立ち尽くすまま
一日が一日へ切りかわるように
朝は迎えがきますように
天幕を手刀が裂いたら
ガスから顔出した涼しさ

空が明るみつつあり
急いても徒手空拳
これからどうしてやるのだ
二本の筒がもしも
ほつれたままだったなら
四次面へ抜けられたか
夜よ


自由詩 熱帯夜とワームホール Copyright ゼロスケ 2010-05-08 23:08:15
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