りんご園
朧月

りんごをむいてゆくと
白のりんごになって
赤のりんごはぺらぺらの
シートにかわった

僕は白いりんごに驚いてしまって
赤のシートに名残惜しそうに
名前をかいた

りんごはお礼といって僕を
故郷につれてった
りんごの木は思っていたより
太かったんだ

りんごはみんなと同じ顔して
違った木になってた

赤のりんごは当たり前だと
僕にいうけど
むいた白のりんごはこっそり僕にいうんだ

青も黄色も赤もそれぞれが
大事なりんごだって
おとうさんは目を細めていうの
これは内緒だよ

僕の名前をかいたりんごの
赤のシートはいつのまにか
りんご畑のプレートになって
僕はオーナーになってた

風がふいた と
雨がふった と
僕はいろんなりんごたちを
親身に心配するんだ
これからの僕は



自由詩 りんご園 Copyright 朧月 2010-05-08 22:18:30
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