日々にドレッシングを 
パラソル

とりあえず、ビルの屋上にいくと柵をまたぎたくなるが、
それは開放感をあじわいたいから。
落ちたらすぐしぬ場所のそばで無防備に立っていたいから

そしてふらっと近所のそば屋に行けるような感じで
いつでも死ねる準備をしながら日々を生きていたい

休日、桃太郎電鉄をしてたら
テレビのすぐそばに鳥の幻影が立っていた。
桃太郎とヴァーチャルの電車にのってどこかへ行きたくなった。
画面の中にとじこめられたまま二度と出られなくなりたい
包帯にぐるぐるまきにしばられたら、かえって腰痛が治る気がする。

だれもいない電車の中で、「この人ちかんですよ!」と叫ぶ練習をする。
それから電車をおりて二人で喫茶店まで歩き出す練習も。
存在しない事実の積み重なりが
発酵したミルクティーのように両耳から流れ出す。

動物園で動物達と一緒に画面をのぞきこむ。
下がり続ける棒グラフが誇らしげに画面をおおっている。
台所では野菜が忙しげに包丁に切られている。
動物園はメリーゴウランドの中でなかよく目をまわす。


自由詩 日々にドレッシングを  Copyright パラソル 2010-05-08 14:40:25
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