何故ならオレは血だ
血の疾風怒濤だ
猛り狂って世界を巡る風の叫びだ
だから至高の女を組み敷いて犯す前に
やる事がある。
尻肉が胡桃みてーに硬直するほど押し広げられた全開脚の
腱の立った白い両腿の中心に突き出されて砲身をせがむ熟れた果肉
その濡れ光る淡紅色の傷口を突き破って
オニキスの棘にも似た種を深奥に植え付けてやる前に
魂を解き放って咆哮しながら世界を吹き荒れ、
何もかもぶっ壊して回らなきゃなんねーのよ。
男は安寧に達する前に、いや達する為に、
祭祀という通過儀礼を済まさねばならない
所謂、
まー潔斎つーかカタルシスつーか元服つーかアダルト割礼つーか、
千日回峰行つーかストレス解消法つーか、
要するに、世界やっとけフェスティバル、みてーな？
それはだんじりとか御柱とか三社祭とか、
田舎者の白痴や下町の低能どもがフンドシ１丁で喜び勇んで駆けずり回るような
情けねえゴマカシの、下らねえママゴト遊びと違う本物の祭りだ
咽喉元に突き上げ眼窩を圧迫する衝動の本態に忠実な、
それは死の怒号と牙の衝突
肉を引き裂き阿鼻叫喚と血飛沫に酔い痴れる狂気の祭典だ

鼓膜の内側でガンガン鳴り響き、鼻血になって滴り落ちるこの衝動は
男なら誰でも知っている
リビドーだ？　
まー保健体育や教育委員会じゃそれで片付けるんだろう
部活でもしとけってな
だがボール遊びやスコスコいい気持の射出で止むような
そんな浅いちっちぇー所にこの衝動の根っこはない
はらわたに渦巻く血の言葉に耳を傾ければ聞こえる筈だ、
男は戦争という祝祭で殺し合う至福の為に生まれて来るのだと。
本当は誰もが知っている
だがてめーの命が惜しいばかりに耳を塞いで神輿担ぎなんかでゴマカシているのさ
「青年団」が笑わせるぜ、
てめーら男か？　
年に１度のリカちゃん人形遊びのどこが勇壮だって？　
ちっちぇーちっちぇー臆病者の蟻んこには玉も牙もありゃしねえからな
オレは蟻か？　
まあ軍隊蟻だ
少なくとも破壊衝動を野球や味噌汁に転化したりはしない
オレは兵士だ
１７９?の体内にあらん限りの暴力と蹂躙を装備した、
欲望という神軍の兵士だ
あと１?。
この１?は、
ヘルメットに流れ込むオレの血反吐の予備空間
あるいは貫通孔から噴き出す脳漿の揺りかご
「おやすみ、最高だったぜベイべー」

眼前の標的は残らずこの手でぶち割りぶち破り
ぶっ刺しぶっこ抜き、ぶっ捌いてぶっ潰してやる
潰れる肉の感触
へしゃげる骨の音
足下で破砕する人間の断末魔を五感で味わう間の熱狂こそが
絶息する獲物の温かい鮮血を顔に塗りたくる殺戮のエクスタシーだけが、
兵士の体内で沸き立ち騒ぐ血に投げ与えられるべき回答だ
つまりそれは動脈瀉血のようなものだ
血の噴水　　間歇泉　　洪水
何もかも根こそぎにする戦争の、
陸軍兵士の戦闘こそは最古にして最高の瀉血だ

撃墜されるべき空挺隊員にはパラシュートという保険証書がある
空中散歩の束の間を楽しんだ後の落下地点が敵の只中であれば、
自己責任でブービー賞の授与式なり残務整理なり好きにするがいい
撃沈されるべき艦船の乗員には救命胴衣かボートか、
板切れ１枚ぐらいはあるだろう
潜水艇はそれ自体が贅を尽くした棺桶だ、
藻屑となるべき海原の水温がどうあれサメの満漢全席であれ
そこに人間同士の肉弾戦の残酷はない。
歩兵には鋼鉄製の甲冑さえ支給されない
ふざけたヘルメットと防弾チョッキの気休め以外は、
大動脈と神経束むき出しの銃撃戦が前途に開けてあるだけだ
レーザー照準装置は顔面を狙い頚部を狙う
頬に逸れりゃ顔半分が吹っ飛ぶまで。
サオやタマの的当てで事済ませてくれる、
遊び心のある敵兵などいない
腹を撃たれりゃ脱腸を支え、
腿を撃たれりゃ出血を押さえて片手が塞がり、
肩を抜かれりゃ脱力して、まともに機銃も構えられない
もたもたしている内に２発目が入れば地面に倒れて、
後は犬死と添寝するだけ。
殺し合いが始まればクソの役にも立たねえ装備の重量を背負い
限られた武器弾薬だけを胸に抱えて死地に放り込まれた、
この極限の緊張。
視野を忙しなく往復する血走った眼球の奥を駆け巡り
赤ん坊の泣き声みてーに頸で反響する、恐怖のアドレナリン
死の紙一重をコンマ５秒ずつ生きる、
この絶望的興奮。
それに較べりゃ万引のスリルなんてオムツの中の寝ションベン
器物損壊の愉快なんて幼稚園児の砂遊び
喧嘩沙汰は小学生の包茎ちんこの引っ張り合い
予定調和のプロ格闘技などオカマのレズビアン・ショウでしかない

真の祭儀は人間狩に在り

オレの進路はこうして決まった。
あと１年ちょい
卒業したら陸自に即入隊
毛脛でもまくって見せりゃ面接はオッケー
教育課程で脱落しないよう３年前から体を鍛えている
どんな地獄訓練にも耐えてみせる
どーよこの、アドニスにも似た大胸筋
ダヴィデおわす腹直筋
カチューシャも素敵なゴリアテ級の　――　関係ねーか
それにつけても女が噛んでやまない三角筋のこの球面
しなやかな指達が滑り飽かない広背筋の緩斜面
めくるめくバンジーの失神がガッツリ掴む、この大臀筋
ハ？
国を守る？

ハ、勿論でありマス！　
ボクちんはにツポんの領土・国民の安全を守るとゆー聖職に従事する
自衛官の崇高なヲ志と、
峻厳無双の安月給・寄生虫的厚遇及び各種手当に裏打された
毅然
敢然
唖然なヲ姿に、
生まれる前からずっと憧れて来たのでちゅ！　
何故かと言えば合法的に重火器を入手し、
手当たり次第ぶっ殺す１番の近道だからでちゅよ
人生、急がば回れでちゅ！
ナニ？
国際緊急援助活動・平和協力業務ですと？
対テロ支援給油活動ですと！　　　アラ。
ドゥーしましょう、第３次世界大戦はまだ起こりそーもないんですの？　
迷彩服に花柄エプロン掛けての炊出し作戦ばっかりで？　
マーいやだ困ったわ、あたしドゥーしたらいいワケ？　
今から予備校通ってお勉強して４流大学入ってテニスラケットぶんぶん振って、
青山でスーツ買って非上場企業の端くれにでも就職してネクタイ締めてセーター編んでようかしら　
　　　　　　　　　　　　　らららら
　　　　　　　　　　　　　　　　　ドドドドドドドドド
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ドゥ！ドゥ！

有事など待つ必要はない、東富士の裾野辺りで充分だ
満足な数の実弾が配布されたとオレが判断した時が、
祝祭の開幕
２０人だろうが３人だろうが成果は問題じゃない
それを味わう為に生まれて来た、
人生最大の法悦の後なら死刑は本望だよ
戦争の勝者はこのオレ様だ
無論、連隊諸君の反撃も歓迎する
戦死はオレの文化勲章。
んで、風穴開いて血をごぼごぼ吐くか、絞首縄にぶら下がった瞬間に
オレはオレの美しいエンジェルに突っ込んだまま果てるのさ
その時オレの可愛い複合体ＡｎｅＣａｎは、
顔を歪めてオレの耳に囁くだろう　　　　
「アア、イイ」　　　　　　　　　　　　　　　
こうして浸潤と怒張をがっちり接合して昇天する、
これがオレ達Ａｎｇｅｌ＆Ｅｖｉｌカップルの遺言だ、ハハハ！