いない場所
チアーヌ

よる寝ていたら
彼が帰ってきて
ひどく酔っていて
わたしは体を起こした
そしたら女の声がして
女もひどく酔っていて
大きな声を出してる
「もう帰れないんだし泊めてよ」
髪の長い
白っぽい色のスーツを着た女
わたしがそっと
影に隠れて
覗いていると
彼は女を押し戻して
「さっさと帰れよ」
と足蹴にしそうな勢い
「なんでよいいじゃないの泊めてよ」
二人ともよれよれに酔っていて
お互い理屈が通じる状態じゃない
「わかったよいま金やるから帰れ」
彼はどかどかと部屋の中に入ってきて
テーブルの上に置いてあったわたしのバッグを乱暴に開け
財布を取り出して札を抜く
「これで帰れよ早く行け」
「なんでよめんどうだし帰りたくないの泊めてよ」
「バカいいかげんにしろ」
わたしはふたりをじっと見ている
息を潜めて
隠れながら


自由詩 いない場所 Copyright チアーヌ 2004-10-07 10:37:21
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