わがまま
たもつ

 
 
鉄棒のように目を覚まし
自分の肌と同系色のものを食べ
いつの間にか飛行機に乗らなければいけない
ということに気づき
慌てて二階にしかない部屋で
知っている限りの身支度をし
途中、道で転んだことが淋しくて
池のように泣き
原っぱに伸びる滑走路の脇で
名刺だけの人から代金と引き換えに
硬めのチケットを受け取り
飛行機が到着するまでの数十分の間
昔みたいに深呼吸をたくさんするのだ
と言って譲らなかった
 
 


自由詩 わがまま Copyright たもつ 2010-05-07 19:28:31
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