レッスン11
ふるる

だらりと舌を垂らした犬が
くわえていった

無限に広がる雨音の中で
たった一音が残った

炎を見つめて乾いた暁の頬を
夜が照らした

葉脈を流れる冷たい水が
樹 まるごとであると知っていた

激しい罵り合いの後にも
空腹は訪れた

カゲロウが翅を休め
透き通った影ができた

誰かに愛らしい名前がつけられ
その名前が唱えられた

遠い潮の香りは
静かに記憶をまさぐった

それこそが、

「 」


誰もが一言だけを胸に

墓に収まった

その墓には

花が寄り添っている



自由詩 レッスン11 Copyright ふるる 2004-10-07 09:20:24
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
****印象詩っぽい*****