かげふみ
こしごえ

影をさらう
私の視線の深淵には
沈黙が重なり積もって
闇が冴えかえっている
それはそれは
静けさの
みちみちて
無表情におかしいくらい
青ざめ冷たい
微笑だ
いいえ
初めての
光なのです
零れおちる足もとに
あれから
これへ
立ち尽くしていました
もう

夕暮前に
糸のようにほそく光る月がかしげているな
なぜをなぜる
今晩はやけに
あふれかえる
暗く きこえていますか
この連連とした死の産声
人知れずひびきわたる虚空
私の生をささえているのです

わすれてしまいますか
喪失をえた、ということを
この影はふまれている
最初から最後まで
ずっと
知りもしないで









自由詩 かげふみ Copyright こしごえ 2010-05-01 05:20:50
notebook Home 戻る  過去 未来