診察台
森の猫

診察台の上では
まな板の鯉だ

あたしは
力を入れぬよう

ハッ ハッと
息を吐きつづける

早く 終われ
看護婦さんはやさしいが

あたしは
あられもない姿で横たわっている

チクッ
組織をとられた
器具を入れられる

悪夢の数分間は終わる

これだから
婦人科はイヤなんだ

主治医は
怖い言葉を吐いた

”がんの疑いがありますね”

不思議と他人事のように
落ち着いていた

あらかた
予想はついていたから・・・

病院を出て
あたしは
医師から止められた
ビールを飲み
餃子を食べた

そして
夜のライブ会場の
渋谷に向かった

病は
生きがいまで
とりあげることは
できない


自由詩 診察台 Copyright 森の猫 2010-04-28 01:46:26
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