ソーシャルネットワークシステム情事接続
ピッピ

せっくすしたい
と言うのはキーボード
送信ボタンを押せば
世界に広がるマイヴァギナ
けれどもそこにはフォッサマグナのひずみを感じるほかなくそこに体温はない
本当はセックスなんて一つもしたくない
ただ裸になって抱き合ったり
ひたすらに寂しい私が
寂しくないふりをするために
見知らぬ人と電話をしたり

受け皿は暖かい方がいい

秀吉と信長はできていた
秀吉が信長の草履をあたためた夜は
信長が秀吉をあたためている
少し春めいてきたからと言って
フラペチーノの気分は少し早かったかもしれない
ここには信長など
いないのだから

会話が途切れるだけでいらいらする苦痛
ひたすらに誰かとつながるための
細い細い糸をさがしている
誰かが反応してくれれば
さらに反応が欲しくなる
過激になる架空世界
誰もがロックシンガーになって
そのくせさびしい

ブラウザの小さなドットに欲情し
その呪縛から逃れられない
けれどもそれを偽物だとした時
本物だったら満たされるのか
スクランブル交差点の中央でアイが欲しいと叫んだ少年は
その後どうなった

足りないものがある
背後にびっしりと寒気を背負っている
繋がらない電話を握りしめている
遡れない歴史の真ん中にいる
あなたに聞こえたのはただの谺
あなたに聞こえたのはただの谺


自由詩 ソーシャルネットワークシステム情事接続 Copyright ピッピ 2010-04-27 23:33:21
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