浅い夜
松本 涼

浅い夜の沖の辺りに
目を凝らせば

深い場所にじんわりと
普段は誰にも気づかれず

隠れてるものが
見えてくる


柔らかな
月の明かりの下でも

眩しい
日差しの真ん中でも

浮かび上がらない
ものたちが

重たい土を押し上げる
芽のように

その姿を
そろそろと現し始める



怒りに見えた
それらはみんな

もっと素直な
痛みだったり


哀しみに思えた
それらは実は

とても激しい
情熱だったり


諦めと嘆いた
それらはなんて

なんて深い
愛情だったり


浅い夜の沖の辺りに
目を凝らせば

静かで確かな
そのままが見えてくる


在りのままの
私が






自由詩 浅い夜 Copyright 松本 涼 2010-04-27 22:53:28
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