末期症状2
……とある蛙

何を言ったところで、
地平線まで埋まった
人々の群れは
いっこうに減る気配など無く
眼の前に蠢いている。

こんな気配を感じたとき
我々は目を見開こうとはせず、
もちろん、目を瞑っていたわけではないが、
ひらひらと中空から落ちてくる
きらきらとした
紛い物を一心に見つめていた。

もうそれが紛い物と分かっていても
我々は中毒患者のようにその方向を見つめ
多くのものは足を踏み外して
立って歩くことすら出来なくなった。

地上は
薄汚く着飾ったアイドルや
救済を叫ぶ偉人たち、
もっと楽が出来ると声高に叫ぶ詐欺師たちらで
充満し、

自分の都合の悪いことには
口をつぐむペテン師達が
何かを語ろうとする善人の唇に
あるいはその唇のある口に
砂を目一杯詰め込み
黙らせ、嘲笑い、罵り
唾を吐きかける。

それに気づかず同意する馬鹿達

おまえらは何やってるんだ!

おまえら、本当のことを言ってみろよと
猫に語りかけるのが落ちのような
そんな世界だって 俺は一人で呟く。

分かるような嘘をついて
 何の解決策も提案できない。
人に対する罵りの材料だけたくさん持っている。
そんな胡散臭い正義を掲げて
他の場所では陰口をたたく
そんな奴らばかりでまともな奴はいない。

まともに相手をする必要もないが
歩き疲れてる先にある
黄色の道はもう砂だらけだ。
しかも人がたくさん
道幅一杯に拡がって歩いている
みんな口々に変革を叫んでいるが、
さて、どちらへ行ったらいいものやら。

こんな筈ではなかったと 繰り言を繰り返すだけだ。

※2009-08-26 投稿したものの一部改訂したもの


自由詩 末期症状2 Copyright ……とある蛙 2010-04-19 09:53:13
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