処分
湾鶴


市電のレールは暁に根負けし
夏のそれとは違って
鰈のように臥している
遠くまで伸びる 秋色
同じ窓から、庭先の蘭も
肩を落としているのが見えた。
あぁ、
そんなこと忘れるくらい
片付け続けた部屋も、
そろそろ終演を迎える。

処分
あげたり、寄付したり、捨てたりと
物を消していったけど
リサイクルショップへは、行かなかった。
お金となって戻ってくるのが、
たまらなく、たまらなく、嫌で。


もう、さっぱりと。
処分

コーヒー豆は 煎れて飲んだ
煎茶は後輩にあげて
紅茶はまだ 棚に残っている

週末、ようやく壁紙を剥がす。
染みも汚れもヤニも  
そして、熱帯魚のような落書きも 
風に放って 


処分(Bye)


自由詩 処分 Copyright 湾鶴 2004-10-05 00:49:04
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