それぞれの
唐草フウ
頭をなくした こどもの魚が遊泳する
それをお母さん魚は どこかと捜す
綿毛のせんぱいは空の上 雲にうまく混じれただろうか
たんぽぽは そう考えながら自身の旅立ちを予定する
おいおい おいおい
木の葉が手を揺さぶっている
こっちにおいで なのか
ここは危険だよ なのか
お母さん魚は自分の泳ぎ場に戻った
たんぽぽは大雨に打たれ 空への種を落とした
誰も知らないようにそこに立っている
誰も知らなかったかのように 春が泣いている
やっと咲けたふじ色の小花が すこしさみしそうにひとつ ほほえんでゆれる