それぞれの
唐草フウ


頭をなくした こどもの魚が遊泳する
それをお母さん魚は どこかと捜す
綿毛のせんぱいは空の上 雲にうまく混じれただろうか
たんぽぽは そう考えながら自身の旅立ちを予定する


おいおい おいおい
木の葉が手を揺さぶっている
こっちにおいで なのか
ここは危険だよ なのか


お母さん魚は自分の泳ぎ場に戻った
たんぽぽは大雨に打たれ 空への種を落とした

誰も知らないようにそこに立っている

誰も知らなかったかのように 春が泣いている

やっと咲けたふじ色の小花が すこしさみしそうにひとつ ほほえんでゆれる










自由詩 それぞれの Copyright 唐草フウ 2010-04-15 13:18:42
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