忘れられた女
たもつ



微笑みの匂いがする最後の頁を
めくるかのように
僕が女を忘れたころ
女はいつもと同じ場所で
いつもと同じ歌を
歌っていたそうだ
未明
人も車も動き出さない冷たい駐車場
空を見失った一羽の鳥が
墜落していた
掌の中で
心音が心音でなくなる音を
確かに僕は聞いたのである






自由詩 忘れられた女 Copyright たもつ 2004-10-04 16:37:19
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