四月六日
cass

今日
勇気をだして図書館に行ったが
彼はいなかった

私がいるの知ってるから
来ないんだな
私は下くちびるを噛み締めた

すこし経って
彼がやって来た
眠そうにあくびをして
なんと私の目の前にすわった

驚きで顔が上がらない
ドキドキドキドキ
心臓から血が出ている!

彼は
なにも言わない
ちらりとも見ない
何時間も動かない
よく見ると寝ていた

彼の仕草ひとつひとつが
私へのイジメかとおもうほど
マイペース極まりない

閉館まで二十分
のこるは私と彼だけ
一緒に帰れる!
彼のつむじにガッツポーズ

あと十分
帰りに何を話そうか
ニヤニヤ

五分前
閉館のミュージックが
静かな図書館に響き始めると
彼はむくりと起きて
ひとりで帰ってしまった
愚かな笑みに稲妻がはしる
眉間のシワ

はたして
私がいたことに
気づいていたのだろうか

もし
彼のアドレスに刻まれた
919が
誕生日を示しているのなら
天王星人で
O型で
私との相性は最高なはず

自分を鼓舞するわたし
くちびるの皮が裂けて
血が出ていた


自由詩 四月六日 Copyright cass 2010-04-06 20:29:41
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