デート
板谷みきょう

独身女性二人と
喫茶店でのデートは
楽しいもんだ

ただ意味も無く
だらだらと喋り合うのも
良いもんだ

二人は独身であるが故に
セクシャルには敏感だ

二人である事が
開放的にさせているのも又
事実なのだが
それ以上に私が妻も子もいる
中年男である事の方が
より以上の現実なのだ

彼女達の興味は津々と
いわゆる夫婦生活である夜の営みのことへと
向かって流れて行くのも
自然の摂理なのだろうが
残念な事に彼女達の彼氏と
夫でありお父チャンでしかない私とは
立場も責任も全く違うのだ

彼氏のテクニックがどうであれ
その時の態度がどうであれ
私のソレとは
やっぱり全然違うとしか
言いようが無く
込み入って来たテクニックや
態度や優しさは
それはそれで良いものなのだ

「やっぱり男の人って
結婚してからも
オナニーをするんですか?」

なんて事を聞き出そうとする君も
その言葉で急に色めき立って
聞き耳を立て始めた君も
実は男の人達全般を問うてる振りをしながら
私のセクシャルな性癖を
聞き出したがっているのだ
そんな問いには
微動だにしないポーズを装いながら

「それが男の生理なんじゃないかな。」

なんて生返事をすると間髪容れず

「ところでアレの味って
どんなんなんですか?」

なんて事を平気で聞いてくる

「アレってなに?」

と傍らの問いに
今度は二人で会話が始まり

「決まってるじゃない、ザーメンの事よ。」

「えっ?!」

「ザーメン。精液の事よ。」

「なぁんだ。ソレだったら何も男の人にわざわざ聞く事ないじゃない。
女の方が詳しいに決まってるもん。」

ちょっと待ってお嬢さん。
独身女性である貴方が、まして真昼間の喫茶店で
彼氏とのベットインの想像をかきたてる様な
そんな事を言うもんではありません。

妻子持ちの中年男の私ですら
ドギマギしてしまうではありませんか。

独身女性二人と
喫茶店でのデートは
楽しいもんだ
ただ意味も無く
だらだらと喋り合う限りにおいては


自由詩 デート Copyright 板谷みきょう 2010-04-03 02:42:50
notebook Home 戻る