詐欺師の匂い
夏川ゆう

お元気?と聞き覚えない声がする電話の向こう詐欺師の匂い

何歳になろうと夢は美しいあの世この世の間で揺れる

台風が接近中と告げる声眺める空に恋文飛ばす

退屈な授業に背中向けたまま遥か彼方の夏休み想う

部活終えガールズトーク繰り広げ夕焼け小焼け控え目に響く

アルバムを開けば笑顔笑顔だけ花の薫りに似た夢がある

図書館で芽生えた恋は色褪せず本の数だけ生まれる想い

最近の流行りについていけなくて殻に籠ったサザエを睨む

東京で孤独に歌を書きながら故郷に咲いた花に口づけ

良いニュース飛び込んできた寒い朝身体を焦がすほどの喜び


短歌 詐欺師の匂い Copyright 夏川ゆう 2010-03-30 16:29:56
notebook Home 戻る